2005年9月3日(土)午後2時より東京・青山「こどもの城」にて、第11回 JDCAフロンティア会議が開催されました。平間理事長の開会の挨拶の後、(株)アートバンク様 來田社長より現在HPにて展開中の「筆文字なび」の現状について種々お話がありました。また、これからの取り組みについてや参加者の方々への積極的な参加への呼びかけがありました。ひき続き、第10回JCCA大賞の各賞授与式がおこなわれました。
午後2時半より、今回のゲストでお迎えした 凸版印刷株式会社様 法務本部知的財産部・山崎紳正(やまざきのぶまさ)法務部長より「商業書道のための著作権」とのテーマで講演をいただきました。
- 知的財産とは
- 特許・実用新案とは
- 意匠とは
- 商標とは
- 著作権とは
以上の内容に沿って様々な事例を挙げながら、わかりやすく解説していただきました。これらのことは知っている様で案外解らない事のほうが多く、デザインワークをする中でも特に筆文字を書く上で「法的リスク」について正しい知識を持つ事は重要なことだと再認識させていただきました。
特に「不正競争行為防止法」という法律は、営業上での利益の保護を図ると共に、これらを通じて公正な競争の保護を図ることで商品などが保護される仕組みになっているというもので、具体的には表示のマネ・コピー・誤解を招く表現・誹謗中傷行為等々8項目にわたり定められており、これらに反した行為が認められた場合には罰則が課せられるというものです。
例として「文字を用いた造形表現物の著作権」についてみてみると、注目すべきは法的に「書」は「美術鑑賞に基づく美術品である」とされてる点でそれは書独特の筆跡やにじみ等からくるようですが、一方で「字体」(タイプフェイス)「文字」は「情報伝達手段として世の中に伝えていく手段」という捉え方となり、このように法的に裁判所では一口に文字といっても2つの側面からみていくというわけです。
特に後者のタイプフェイスの権利問題については、過去にいくつかの訴訟問題が起きており素人目にはそれとわかる区別がつきにくいものも多くあるのが現実です。
しかし、全てが必ずしも法的にふれるという事ではなくその使い方に於いて商品自体が異なれば(例:某食品名と別会社ロゴが酷似)問題なかったり、その一方で同類商品(例:他社ビールラベルデザインが酷似)の場合は全体から受けるイメージが似ている事で消費者が購入時に見間違える可能性が考えられると認められれば問題に取り上げられてしまうのも事実であるということです。
いずれにしても、基本的に権利自体は作者側にあるのは当然ですがこれらの問題発生を防ぐには仕事受注時での最初の契約の大切さと共に作者側のこれらの正しい知識が大事だといえます。