日本デザイン書道作家協会が主催した、比田井和子氏の講演会「広告市場に拡がる書の世界 ~ 伝統書道から生まれたデザイン書道~」が、昨年11月29日(土)青森県弘前市のスペース・デネガで開かれ、看板やラベルなどに見られる身近な商業的書道の存在意義やデザインと書の関係について理解を深めました。
この企画は、地元弘前市に本部を置く北門書道会のご協力をいただいたほか、多くの地元マスコミのご後援もいただき開催することができました。
講演会では主催者を代表して同協会理事長の久木田氏が「デザイン書道の魅力を発信したい」とあいさつした後、北門書道会主幹の今泉良郎氏を交えながら、北門書道会顧問で天来書院代表の比田井和子氏、書家の岡本光平氏が対談形式で講演をいたしました。
比田井氏は、日本酒のラベルや弘前市周辺でみられる飲食店の看板、のれんなどの商業書道を今泉氏の解説を交えながら紹介しました。また、歴史的な書道大家が筆を走らせる映像なども上映し、「作家たる者は作品に対する独自の取り組み方が必要」と創造性の大切さを訴えました。
岡本氏は「北国の底力を感じる」などと書体を評価しながら「書道はかなり以前から商業的な分野にあり、身近なところで非常に親しまれている」と強調していました。後半は久木田氏も交え、「どんな立派な書道理念も商品化されて自由競争の市場にさらされ、利潤を生まない限り生きられない。筆文字はまぎれもなくサービス産業の一部であり、大衆の満足度を基準にして動いている」など現状の様子を伝え、会場の市民ら80人あまりが熱心に耳を傾けながら「デザイン書道」の今後の可能性について考えていました。
講演終了後はレセプションが行われ、出演者や関係スタッフが揃い、参加者との交流で終始賑やかな雰囲気で閉幕いたしました。