当協会では初めての企画になる篆刻教室が福岡で開催され、多くの受講者が参加しました。
書作品に雅印はなくてはならないものであり、作品の一部としてアクセントの役割をもつ重要なものです。整った綺麗な印は普通ですが、個性的な書には個性的な印が似合うものです。篆刻は難しく敷居が高いという先入観がありますが、自分でデザインをアレンジして造る篆刻の楽しさに、参加者はアイデア溢れる作品造りに熱心に取り組んでいました。
本来、篆刻は「中国の古代文字」篆書という書体を印材に刻ることから生まれた呼称であり、日常実用の「印判」とは区別されます。現在では、篆書以前の古文、隷、楷、行、草、かな、ローマ字などさまざまな書体が彫られており、篆刻は印を彫ることの代名詞となっています。
印は古来、金属・玉・牙(牙歯)など硬度の高い材料を用いたので、すべて専門の職人にしか刻ることができませんでしたが、今では軟らかい石材の使用により、誰もが趣味として学べるようになりました。そして現在では日展にも出品され、独立した芸術として認められています。
彫り方の種類は、文字の部分を彫り他は残した場合、押すと文字が白く出る「白文(はくぶん)」、文字と輪郭を残し他を削り取り、押すと文字が赤く出る「朱文(しゅぶん)」があります。
- 印材の表面をサンドペーパー(水ペーパー)で磨き、印面を水平に整えます。
- 印材のカタチに合わせて、彫りたい文字を仮名用の薄い半紙にデザインしていきます。それを裏返せば逆字がわかるので便利です。
- 印面に朱墨を塗り、印面に筆で逆字を墨書きしていきます。
- 印材を固定するために印床というものを活用し、印刀(専用の刀)を使って彫っていきますが印も線が大切です。
- 彫上がったらブラシなどで石粉を取り払い、印泥にしっかり着けて試し押しをします。
岡本氏は、このような過程を詳しく紹介しながら、大勢の受講者ひとりひとりの作品をチェック。下段の雅印は初めてとは思えない受講者の作品…。なのだが、岡本氏のプチ整形でバージョンアップされご覧のように、個性的な作品に仕上がった。