猛暑の熊本では8月28日(土)に久木田宏延氏による「デザイン書道に挑戦~初心者のための入門編~」と題したワークショップが、熊本市の崇城大学市民ホール会議室において開催されました。 熊本県で協会主催のワークショップは初開催になります。参加者は地元広告代理店のデザイナーやデザイン専門学校の講師、デザイン書道家など業界関係の方々からお坊さんまで、さまざまな方にお集りいただきました。
熊本は副理事長の中川道代さんのホームグラウンドです。中川さんは県内の物産品など数多くの商品パッケージのデザインを手掛けています。その多くに筆文字が使用されており、地元スーパーの食料品売場は、中川さんの筆文字見本市といった具合。ワークショップではその一端を画像で紹介すると、受講生の皆さんは、見覚えのある筆文字に驚いた様子で話を聞いていました。
その中川さんは9月に熊本城近くのギャラリーで、パッケージ商品を中心とした個展を開催しました。クライアントの新規開拓が狙いで、会場には商品サンプルをズラリと並べたそうです。思惑は的中して、大反響を呈した様です。この話は次号で存分につぶやいていただこう。
さて講義では、初心者のためのワークショップということもあり、仕事に絡んだエピソードも交えて、仕事の楽しさや難しさも分かりやすく伝えていました。また、デザイン書道に関する基礎知識から著作権について、そして作品づくりのコツにいたるまでを、プロジェクター画像を交えながら説明していきました。
後半では、デザイン的な筆表現と演出方法など、文字のバリエーションについて、各テーブルをまわりながら受講生ひとりひとりに実技のアドバイスをしていきました。ただ、久木田氏が動くたびに受講生さんもみんな動きはじめ、結局みんなでグルグルしている様子が楽しい姿に映りました。
久木田氏がこの誌面を通して少しアドバイスをしています。『文字数の少ない筆文字を書く場合、どの文字にアクセントを置くかがポイントになってきます。』『文字数が多い筆文字を書く場合には、ひとつひとつの文字の形や個性は分かりづらくなります。
しかし、受け手の目には「かたまり」として認識されるため、書道体がもっている印象、個性は際立ちデザインの印象における影響力は強くなります。そのためにはメリハリを意識して、安定したバランスを保つことがひとつのコツです。』 受講生の方々は、筆の運び方やバランスの取り方を質問するなど、真剣な表情で作品に取り組んでいました。
開催中には地元テレビ局が取材に入り、その様子を夕方のニュース番組で取り上げていました。協会主催のワークショップでは、珍しく男性受講者の数も多く、懇親会では久木田氏に東京の広告事情を聞こうと熱心に質問する様子が印象的でした。また、久木田氏は懇親会に参加した方々のリクエストに応えて、好きな言葉や文字を特製の和紙に書いてプレゼントされました。