【第54回全日本書道芸術展・デザイン書道部門 総評】
◉応募点数397作品
デザイン書道部門は、企業のスローガンやキャッチフレーズを課題としたコンペです。審査は筆文字のデザイン性や独創性を競い、商業的なキャッチフレーズとして相応しい作品を選出しています。
ここで求められるのは、自己表現ではなく企業や商品のイメージを消費者に強く印象づけるための手段です。鑑賞するものではなく、文字表現を通して感じてもらうものです。
書家の皆さんは、普段、文字に表情を持たせようと潤筆と渇筆の変化に気を配りながら仕事をしているものです。ただ、滲みや繊細な渇筆は広告の場ではあまり歓迎されない場合があります。
渇筆に拘りすぎると、メッセージが不鮮明でインパクトが弱くなってしまいます。求められる作品は、線質も含めて視覚的に感じられるイメージを考察することが重要です。そのためには、筆圧の強弱や緩急、運筆の速度まで調整しながら表現したい線を創り出すことです。
また、字と字の間や改行した行間も重要なデザイン要素になります。躍動感や趣きなどデザインの視点で効果的な文字表現を目指してください。