第13回日本デザイン書道大賞
優秀賞「古田の様」
書籍タイトル
「古田の様(フルタノサマ)」は、元ヤクルト古田敦也選手の半生が書かれた書籍です。オーダー内容は「古田様にならないように、青の箔押しで仕上げる、あとはおまかせ」というものでした。制作期間が打合せから1週間という短納期ではありましたが、原稿を読んでみると一筋縄ではいかなかった古田選手の生き様、負けず嫌いな性格が判明。力強い線で表現することに決め、「書籍の装丁」であること、「オビがある」「背表紙にも使われる」ことを踏まえ、「の」の字の在り方に気をつけて制作をしました。思いがけず素晴らしい賞をいただき驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。今後も妥協することなくいいものをご提供できるよう努めて参りたいと思います。ありがとうございました。
矢部 澄翔 さん
1976年埼玉県川越市出身。6歳から書を学び、22歳で書道師範取得。全国公募東京書作展 03~04年「東京新聞賞」連続受賞をはじめ数々受賞。06年以降、スペイン、NY、中国、韓国をはじめ全国各地で書道パフォーマンスやワークショップを展開中。また、書のシーンの映像監修や題字、ロゴ制作等も多数手がけている。優秀賞「風華の庭」
サイン
矢口 奈緒子 さん
1976年生まれ。14歳から古典書道、近代詩文書を学び、後に石飛博光氏に師事。2002年「筆文字デザインhanatubomi」を主宰。デザイン会社等の外注書家として筆文字制作を担当。2008年、西武池袋コミュニティカレッジにて商業書道を専攻。 この度は、日本デザイン書道大賞優秀賞を頂きましてありがとうございます。初めて出品で、このような憧れの賞を受賞することができましたことに大変驚き、感激しております。今回の作品は、熱海の 各戸別温泉付き新築リゾートマンションの庭園サインの筆文字です。「風華の庭」ということで、海風が吹き抜けるような心地よさ、やすらぎをイメージしながら書かせて頂きました。温泉の大好きな私にとって、リゾート地にまつわる筆文字はずっと夢でした。幸せな気持ちで筆をとったお仕事で憧れの賞を受賞することができ、大変光栄です。今後も自分の中に引き出しを増やし、様々なご要望にお答えできるよう、精進して参りたいと思います。
優秀賞「菓」
商品ロゴ
金沢の金箔のお店が出す箔入りの新作和菓子の、イメージシンボルのようなものが御依頼でした。「箔」という人間の手が創る、物言わぬ美しいもの、紙でも布でもない、さわさわとした独特の質感などが頭の中で揺れていたのを覚えています。現代的なリズム感も加味できるよう、文字も自然に動いてほしいと思ってもいました。思いがけない、今回の受賞は、ほんとに光栄です。書き続けてきて、良かったなと思います。ありがとうございました。
西村 佳子 さん
六歳より、お習字が始まる。漢字を崩して生まれたひらがなの、その自由で伸びやかな精神を現代にいかした書を書きたいと願う。おもな仕事は、団伊玖磨作・オペラ「素戔鳥」、FIFAクラブワールドカップ公式パンフレットなど。アートバンク賞 「天のむら雲」
パッケージ
この度はこのような賞をいただき、大変感謝いたしております。受賞作品は島根県奥出雲の和菓子のパッケージとして依頼されたもので神話の「天叢雲の剣」にちなんでいます。奥出雲の自然と神話のロマンをイメージして描かせていただきました。授賞式、フロンティア会議、レセプションにも初めて参加させて頂きましたが、当協会の意義やコンセプトがとても素晴らしいものであると理解させていただきました。比田井先生のお話を聞き、今度は左手で作品を描いてみたいと思っているところです。とにかく女性パワーには驚かされました。そしてやる気満々、そんな人達に自分も又たくさんのパワーを頂きました!お会いした方々と、これから長いおつきあいをさせて頂ければ幸いです。この場をお借りして「だんだん 」。
野々内 政美 さん
1956年/島根県松江市に生まれる。1997年/有限会社ノード設立1998年/墨とカラーインク「リフォグラフィ展」開催2003年/美麗年賀状に掲載される/JAGDA会員/島根県立出雲高等技術校非常勤講師/島根デザイン専門学校非常勤講師入選 「紅一粋」
商品ロゴ
協会創立20周年の節目にあたり、今回から特別に入選枠が設けられ、落選からひろいあげて頂きました。ともあれ、正直うれしいです。ありがとうございます。今回の商品ロゴは、ネーミングのもつイメージを大切に、〝さらりとした力強さです〟偶然ではありますが、一の文字が力が入って筆が引っかかった線が自分では気に入ってます。筆文字は奥が深く、なかなかイメージ通りにいかず、夢中になれるのが好きです。これからの自分のテーマは新しい切り口です。そう思いつつ早10年以上、ヨボヨボになる前になんとかせねば高い制作料金も望めません。
澤岻 一成 さん
沖縄県在住。広告代理店(有)クリエイツ代表取締役、九州産業大学デザイン科卒、グラフックデザイン全般、デザインとビジネス日々奮闘中。筆文字がからむ仕事は特に好きです。入選 「南部杯JPNⅠ」
ポスター
このたびは結構なものをいただきまして、まことに有難うございます。今年から設けられた「入選」という枠に入れていただくあたりが何とも「末席」の感あり、結構気に入っております。世の中は案外面白い確率で回っているものなのだと感じます。買わなければ当たらない宝くじのようなものなのかもしれません。人様から依頼を頂いては、筆文字を筆耕するという仕事を、気がつけば20年も続けてこられましたことは、まさに奇跡に近い。だからと言って他に何かできるようなことも特にありませんから、恐らくは、これからも続けていくのだろうと思います。褒められて成長するタイプの人間の端くれとしましては、今後の活動の励みとして大切にしたいと思っております。
伊藤 康子 さん
弘前出身。盛岡在住。7歳から書道塾に通い始め、18歳で辞める。その後3ヶ月間渡米。26歳から個展活動開始。某局で2年半に渡り喋る。毎年個展を重ねていくうち、筆を生業として暮らすようになる。社会的自覚に著しく欠けるところがあり、協調性と説得力がありません。入選 「加州の米」
パッケージ
この度は、入選させていただき感謝しております。初めての海外の仕事でしたので喜びも一入です。今回はクライアントと直接会う事はかなわず、デザイン内容も知らないままカリグラフィーのみを作る事に不安を感じ、どこに想いを入れるかと自分に問い、素直に描こうと努力したことを覚えております。デザインには情報を伝えるという役目があると思っています。その目的をきちっと読み取り、よりスキルの高いカリグラフィーを目指し、また、書というすばらしい世界を汚さないよう、自分に妥協せず何かを感じていただけるデザインを念頭に精進していきたいと思っております。ありがとうございました。
稻澤 美穂子 さん
神奈川県出身。多摩美術大学デザイン科卒 卒業後イラストを中心にフリーで活動。食品のパッケージをきっかけにカリグラ フィーを始める。現在、カリグラフィー、イラストレーション、パッケージデザイン等。第12回日本デザイン書道大賞アートバンク賞