第17回日本デザイン書道大賞
協会は、JDCAデザイン書道フォーラムに併せて、二年に一度開催している「第17回日本デザイン書道大賞」の発表と表彰式を執り行いました。 日本デザイン書道大賞は、国内外在住のデザイン書道家・デザイナー・書道家など筆文字のエキスパートが、国内外の様々な分野で商品化された書道体の作品から、デザイン性や創造性を競うコンペティションで、作者個人に贈られるものです。
本年度も全国から多くの素晴らしい作品が寄せられた中から、協会内外の審査委員による厳正な審査が行なわれ、優秀作品の七名に賞状、賞金、副賞を授与いたしました。なお、今回も残念ながら「大賞」の該当者はありませんでした。
JDCA大賞審査委員
味岡伸太郎(美術家/タイポグラファー)岡本光平(現代書家)・荻野丹雪(墨象家)園家文苑(書家)・比田井和子(天来書院代表)・美登英利(デザイン書道家/デザイナー)・來田淳((株)アートバンク)・JDCA執行部 ※五十音順
優秀賞 「明—あかり—」
商品ロゴ
中村ちひろさん(福岡県)
アートディレクター、デザイナーとして広告の企画制作、商品開発、企業のブランディングなどの仕事に関わる。1992年より書家として福岡を拠点に国内外での個展活動を始める。和へのこだわりと感性を活かし、店舗計画や空間プロデュース、和のスペースデザインなど活動の場を広げる。この度は、初めての出品でご評価頂き誠にありがとうございました。受賞作品となりました『明—あかり—』は北九州市にあります辛子めんたい専門店の百貨店用ギフト商品のパッケージデザインです。商品名が絵として感じられるように月と太陽を表現し、パッケージとして重要な可読性という問題はひらがなで描いたシールをデザイン素材として組み込むことでクリアしました。大切な方へ贈りたい、もらって嬉しい『綺麗な商品』ということを意識し、制作いたしました。
優秀賞 「凛」
商品ロゴ
心鈴さん(埼玉県)
山形県生まれ・埼玉県在住。美墨書道会主宰。大手百貨店筆耕、Art書、インテリア書、企業理念、店舗商品ロゴ等を手掛ける。関東の小・中・高等学校にて、書初め・大書・Art書道指導行う。JDCA会員この度は優秀賞をいただきまして大変感激しております。『凛』は、一凛珈琲様にて贈答用の瓶のアイススコーヒーとして販売されています。深い味わいでスッキリした後味。レトロモダンでお洒落なカフェ。イメージをわかせながら、筆・墨・紙を変え様々なパターンで書かせていただきました。ご提案させていただいた中から、涼しげでスッキリした筆運びのこの『凛』が採用されました。良きご縁に感謝し、文字に魂を吹き込み今後とも精進して参ります。関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
優秀賞 「古代米せっけん」
商品ロゴ
吉垣奈美代さん(福岡県)
幼い頃より書と音楽を学ぶ。広告筆文字やパフォーマンス、講師などの活動を行う。AICA.Professional Academyにて中川道代氏に師事。「遊びま書」筆文字アート教室主宰。JDCA正会員受賞作品の「古代米せっけん」は、文字に対するご希望はなかったものの、商品に対するこだわりや強い気持ちが伝わってきていたので、その想いを何とか文字に込めなくてはという思いでの制作でした。小さなラベルの中にインパクトある、商品名に負けないスケール感が出せればと試行錯誤いたしました。この度の優秀賞受賞は、私の今後の活動に大きな自信をいただきました。これまでご指導いただきました方々に心より感謝申し上げます。
アートバンク賞 「熊野古道」
商品ロゴ
榮田清峰さん(三重県)
三重県在住。6歳から書道を習い、二十歳で正師範免許を取得。ホテルや百貨店の販促物デザインの仕事を経てフリーへ。ロゴや印刷物の筆文字の他に、抽象的なアート書の制作にも力を入れています。栄・一宮中日文化センター講師。WEB『デザイン書道 羅紫のふで』JDCA正会員このたびは「アートバンク賞」という大変嬉しい賞をいただきありがとうございます。日本酒『熊野古道』は鈴木宗右衛門酒造株式会社様よりご依頼をいただきました。熊野古道は三重・和歌山・奈良を結ぶ神の道とも云われる世界遺産でもあり、神聖な締まる気持ちで制作できました。デザインは熊野古道そのままを描写した抽象表現の文字とのご要望で、「熊」を石畳、「野」は木々や土を表すなど、アートなロゴの制作はとても楽しかったです。何度も校正を重ねた結果、やはり可読性を重視した筆文字へと変化し完成に至りました。制作過程でもいい経験ができ、商品は地元のお土産にできるという思い入れのある作品です。
入選 「凛」
タイトルロゴ
大谷美游さん(神奈川県)
現在はフリーランスのグラフィックデザイナー、デザイン書道作家として活動中。アート書の展覧会出品の他、筆のタッチや墨のニュアンスを活かしたオリジナル雑貨を制作し、ギャラリーやイベントにて展示販売も行う。JDCA正会員「凛」は四つのリーフレットタイトルのうち一つです。それぞれのコンセプトは、
「凛」=Stylish
「優」=Sweet
「結」=Japanese(Modern)
「芽」=Natural
ホテルで使われるブライダルフラワーなので、ちょっとおしゃれに、上品な感じを目指しました。うまく書き分けられたでしょうか?メインの花の写真をさりげなく引き立てられていれば成功ですね。
「凛」=Stylish
「優」=Sweet
「結」=Japanese(Modern)
「芽」=Natural
ホテルで使われるブライダルフラワーなので、ちょっとおしゃれに、上品な感じを目指しました。うまく書き分けられたでしょうか?メインの花の写真をさりげなく引き立てられていれば成功ですね。
入選 「宜野座のしずく」
商品ロゴ
澤岻 一成さん(沖縄県)
沖縄県在住。1989年より有限会社クリエイツ代表。パッケージデザインを主にグラフィック全般。よろず何でもありの、デザインとビジネスに日々奮闘中。筆文字を必要とする仕事を待っているのですが、めったに出番がありません。もう一人の自分による自分のための「自己審査講評」やってみました。この作品は、一言でいったら「まあまあ」の出来です。普通なところがいいです。しかし、酒の商品ロゴとして差別化できる個性というか、印象に残るものが欲しかったです。何かもっと、こう、やり方がなかったでしょうか…。文字数がちょっと多めでバランス良くまとめる難しさはあると思います。「宜野座の」と「しずく」の線質というのかテイストが違いますね。「しずく」は「しずく」らしくあってほしかった。力みすぎです。気取らないで素直に書いてみましょう。
入選 「山の時間」
商品ロゴ
北田美智代さん(熊本県)
熊本県在住。大分県立芸術短期大学デザイン科卒業。印刷会社に入社。2011年より中川道代氏の元でデザイン書道を学び、現在イラスト、デザイン書道を活かし同会社に勤務。JDCA正会員この度は日本デザイン書道大賞の入選に選んでいただきありがとうございます。嬉しさよりも驚きの方が先で、信じられない思いでいっぱいでしたが、今は感謝の気持ちと共に、大変嬉しく光栄に思っております。「山の時間」は熊本県の山間の町、山都町の観光パンフレットです。豊かな自然の中で流れる特別な「山の時間」を文字に表現したいと思いました。今後もこの受賞を励みに、クライアント様の思いに添えるような作品づくりにより一層努力していきたと思っております。